ヨンキュープラスを制作しているエージェントプラスには、書道家がいる。ワンピースで麦わらのルフィが音楽家を欲しがったように、何故か、筆者は書道家が欲しかった。あれから2年。今もこうして、書道家を雇っている。これからも様々な要素が絡み合うクリエイティブ集団でいたいと願う。それでは、その書道家から届いた便りをご紹介することとする。
書道家にとって墨磨りは欠かすことのできない作業です。
一日に2時間ほどは、硯を使って墨を磨っているわけです。
墨を磨りながらあれやこれや考えたりする訳ですが、この時間が結構大切なのです。
磨り始めると墨から薫りがたってきます。優しく撫でるように磨っていくと硯盤は滑らかに墨をおろしてくれます。
その日の気温や湿度、季節によっても磨り上りの墨色は変化していきます。
時間をかけてゆっくりと自分の墨色を探っていきます。
墨を磨る姿勢は筆を懸腕で持ち、手首を使わずに腕の振りで字を書くフォームの稽古になります。
丁寧に磨った限られた量の墨液で限られた枚数を、大切に書いていく時間の積み重ねでしか得られないものがあります。
墨汁を使うことが悪いとは思いません。
生徒さんとの稽古のときは僕も練り墨を溶いて使っています。
でも毎日僕は墨を磨る。
墨と対話する時間は書くことの重要な一部だから。
墨人 堀尾茂雅