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88歳。有田焼人間国宝の物語〜その2〜365日無休

コラム 伝えたいこと

365日無休の人間国宝

有田焼の人間国宝、井上萬二さんに休みはない。88歳になった今でも、自宅にいる時は隣の工房で作品作りに集中する。土日も、常に動いている。

休まないことを「苦痛に感じない」と言い切る。だからといって、“仕事人間”という感じはしない。

「ワーク・ライフ・バランス」なんて言われる現代において、生活のすべてを作陶に捧げる萬二さん。

人間国宝が休まない理由とは?

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「休みはない。休む暇もない」

井上萬二さん

窯の若い者が土日を休んでも、私には来客があったり、会合があったりします。自分の個展を開く時も、土日は会場に行ってますから。だから、休みはないんです。

日曜日に何も予定がなくても、美術の展覧会を見に行ったり、福岡の画廊に行ったりしています。土日は、自分の勉強の場でもあるんです。つとめて、芸術の研究を自分でやっているんです。精進をしているんです。

ただ「休まない」というのは、常に気を張っているということではありません。何十年という生活習慣なんです。だから、苦痛も感じないし、ゆっくり休みたいという思いもないんです。

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88歳になっても「常に挑戦、常にクリエイト」

私は常にチャレンジする心、クリエイトする心を持っています。われわれの(陶芸の)世界は平凡ではダメですし、マンネリ化もいけない。だから常に挑戦して、新しいものを創造していこうとする心が必要。そのためには、普段の努力が必要なんです。

私は88歳と年は取っていますが、今でも若い人以上の発想力を持っていますよ。井上萬二窯で作陶を始めた孫は29歳。でも、まだまだ若者にも、新しいものを創造しようなどという感性では負けていません。

まだボケてもいないですしね(笑)。3月に運転免許の更新で路上試験を受けたら、「40代の運転感覚だ」と言われましてね。ただ、周囲は心配して「運転をするな」と止めるから、させてもらえない。車の運転は好きなんで「おれをジジイ扱いするな(笑)」と言っているんですけどね。

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生活のすべてが、自分の作品づくりとつながっていますから。息抜きと言えるか、旅は楽しみの一つです。時間と金さえあれば、どこか行きたいと思います。今でも年に一回は海外旅行をしないと、頭が痛いぐらいだから。ただ旅に出るのも、自分の発想を養う場なんです。

旅をすると、さまざまな土地で「美」に出会えます。それは直接的に私の作品の美になる場合もあれば、間接的な美になることもある。岡山から四国に渡る時、瀬戸内海の渦潮を見ていて、自分の作品に使えないかと思って。渦の模様の作品を作ってみたら、高評価をいただきました。

私は旅先などでの出会いを、自分の作品に還元する心を持っているのです。旅で10円使えば、20円分の心を持って帰る気持ちとでも言いましょうか。転んでも、何かをつかむ気持ちが常にあります。

88歳。有田焼人間国宝の物語〜その1〜はこちら

その3はこちら