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漆黒のキタノブルー。

コラム 伝えたいこと

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北野武の映画「アウトレイジ」には痺れた。

ヤクザの抗争でビートたけし演じる大友組長の部下は一人ずつ殺されていく。その中でも椎名桔平演じる幹部・水野の最期は印象的だった。

女のマンションから出てきたところを拉致され、車の後部座席で頭に黒い袋を被せられる。首には、ロープが巻かれている。湾岸の防波堤沿いの道に車を止めると、ロープの端を路上の黄色いパイプに巻き付ける。なんの躊躇もなしに車を急発進。まるで人形のように後部座席から水野のカラダが宙を舞う。「殆ど首取れてましたよ」は、検死をした刑事のセリフである。

この殺しの一連の舞台が、嫌という程、青い。いわゆるキタノブルーってやつである。無造作に転がった水野の屍の横を、静かにクルマが去っていく。その道の隣には、青い海。その真上には、どこまでも続く青い空。その中に、黒い屍がポツンと映し出される。さっきまで女との別れを惜しんでいた水野のカラダは、もう虫けらの屍でしかない。

ただ空は、青いのだけれど。

ただ海は、青いのだけれど。
ただ青いわけじゃない。

ワタシには、こんな経験がある。もう35年も前のこと。北海道の東にあるサロマ湖の北の方。湧別の公園で夏の一夜を過ごした。下宿でウジウジしている自分に喝を入れるために各駅停車の鈍行と徒歩で2週間余りをかけて辿り着いた場所。恐ろしいほどに真っ暗。満天の星が眩しくて眠れない。クッキリと濃い天の川。ひっきりなしの流れ星。その途方もない量の星屑と宇宙の広さが怖くて、胃の中のものを全部吐いた。深夜の公園でひとり嗚咽した。

青い空の、その上は、漆黒の宇宙なんだよ。

青い海の、その底は、漆黒の海底なんだよ。

目を瞑るだけでは見えない漆黒が、きっと死んだら見えてくる。

その漆黒は、青さと隣り合わせなのである。
キタノブルーのすぐ裏っ側には、漆黒がある。

あっけない「死」は、シャットアウトである。
青から黒への転落である。

その入り口は、その青さの中にポッカリと空いているのである。