Charの「気絶するほど悩ましい」
鏡の中で口紅をぬりながら どんな嘘をついてやろうかと考える・・・って歌詞で始まるのは、Charの「気絶するほど悩ましい」って名曲である。1977年(昭和52年)の発表曲なので、ワタシは、15才の中学3年生である。
ああまただまされると思いながら
ぼくはどんどん堕ちて行く
うまく行く恋なんて恋じゃない♬
ワタシの年上好き&熟女好きの根っこは、ここにある。
阿久悠さんのこの歌詞のせいである。おかげで気絶するほど悩ましい恋に臆病なままの51才になってしまった。
『うまくいく恋なんて恋じゃない』これこそ、昭和の恋歌の基礎である。世の中の男に、阿久悠さんは、このことを伝えたかったのだ。独りの恋の葛藤や逡巡なんかを歌っているわけではなくて、世の男たちに『うまくいく恋なんて恋じゃない』と伝えてくれたのである。
「世の中のうまくいかなさ加減」「甘くもなく辛くもない社会の渋み」みたいなことが阿久悠さんの歌詞からは染み出している。そんな一方で、ズンズンズンズンズンズンズンズン ピンポンパポン♬でもある。プロだなぁと思う。凄いっ!
現在は、アマチュアリズムにリアリティを求める時代になったのだ。阿久悠さんのような世界観は、もう必要なくなった。フツーの女の子の恋の独り言のような歌がもてはやされる。
「語る」のか?「伝える」のか?
この表現の違いは大きい。
ワタシは、昭和37年生まれである。どっぷりと昭和人間である。やっぱり自分の恋の逡巡なんて語れない。若い奴から恋の相談をされたら『うまくいく恋なんて恋じゃない』と伝えられるオッサンでしかいられない。
うまくいかないからいっぱい恋をしておけばいいのである。
お前の人生なのである。
もう勝手にしやがれ♬なのである。