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幻の芋焼酎「村尾」を造っている人を知ってる?

コラム お酒のお話

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本格焼酎の取材をしていると、「幻の焼酎」という言葉によく出会う。もちろん、この世に存在するのだから、幻なんてことはありえない。では、何で幻なのか?

単純に説明すれば、「幻の焼酎」は、手に入りにくい。そして、造っている焼酎蔵、蔵人の情報が、ほとんどない。インターネットで検索しても、蔵人の話なんて出てこない。

代表格が鹿児島県の芋焼酎、「森伊蔵」「魔王」「村尾」だろう。焼酎好きの方なら、誰もが知っている銘柄で、アルファベットの頭文字を取って「3M」と呼ばれたりする。

「九州焼酎島」という焼酎情報サイトを運営している私は、人と人とのつながりから、村尾を製造している村尾酒造に取材することができた。

村尾は元会計事務所勤務の杜氏が造る

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今の村尾酒造は4代目の氏郷真吾さんが、蔵の代表として焼酎造りを仕切っている。電話で話すと、ちょっとガラガラした低い声。強面をイメージして蔵に行ったのだが、実際に会うと、なんとも温和な人だった。全然威張ってない。取材中はずっとニコニコしていて、日本に名だたる焼酎を造っているとは思えないほど謙虚だ。

村尾酒造は、その名の通り、村尾さんが経営してきた。ただ、先代の「焼酎造りの名人」と呼ばれた村尾寿彦さんには娘しかおらず、氏郷さんは娘婿として蔵に入った。いろいろ口説き文句はあったようだ。焼酎造りは人を雇って、蔵の経営だけに専念してもいいから、とか。でも、結局は蔵仕事にどっぷりはまっている。

氏郷さんは会計事務所で働いていたから、焼酎造りは全くの素人。蔵に入った時には、既に「村尾」は幻の焼酎と言われていたから、そのプレッシャーたるや、想像に難くない。実際、4代目になった初年度なんて、「味が変わった」などと大バッシングを受けたそうだ。まあ、出来の良くない年だったのは、間違いなかったそうだが。

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本当は代替わりする10年ほど前から、氏郷さんが事実上、焼酎造りを仕切っていたなんて、飲んでいる人は誰も知らない。情報もない。みんな名人が焼酎を造り続けていると思ってた。名人の焼酎だから「うまいに違いない」と思っていたのだ。

人の舌なんてたいしたことはない

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人の舌なんて、たいしたことはない。人は情報で物を食すると大学教授に聞いたことがある。例えば、砂糖水にオレンジ色をつければ、人はオレンジジュースと思うのだそうだ。

氏郷さんは結局、「村尾だから良い焼酎だ」と言うのはやめた。そうすると、プレッシャーは消えた。村尾だって、うまい年もあれば、出来の良くない年もある。それは、原料の芋の出来とも関係してくるから仕方ないと思っている。

繰り返しになるが、みんな情報で飲食をしている。舌だけでなく、脳でも味わっているわけだ。だから、「幻の焼酎」だと聞いたら、うまいと感じる人もいる。

でも、“幻”よりも、現実のリアルな情報の方が、良いスパイスになると思わないだろうか?

村尾の代表は、とっても素直な男だった。九州焼酎島を村尾を飲む前の情報にしてもらえたら幸いである。

 

九州焼酎島の村尾の記事はこちら

http://44471.jp.net/visit-brewery/muraoshuzou/