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新作楽語 第三回「師走天女」

コラム 伝えたいこと

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座亭・中村修治 作・中村亭ショーイチ

えー、先生も走り回る師走でございます。

走るといえば、有名なところで秀吉の中国大返しというのがございます。数万の軍勢が岡山から京都まで一気に駆け戻ったと言われております。このように日本人が走るのは戦の時が多かったようです。何と言っても戦は乱・・・RUNでございます。さてさて本日は京の都は師走の話で。お香なる別嬪の年増が少女と住んでおりました。

香「お貞ちゃん、ちょっとおいで。」

貞「へえ、ご用事でっか。わたい、これでも忙しい。」

香「何言うん、あんたは私の世話するように、旦さんが置いたはるんやないの。忙しい訳あらへん。」

貞「忙しいふりしてんと、何を言いつけられるやわかりまへん。現に今もどうせつまらん用事を。」

香「黙りなはれ!・・・まあよろし。ふふ、あのな~お貞ちゃぁん。」

貞「なんや怒ったり、にたにたくねくねしたり。お尻痒いんでっか。掻いたげましょか。」

香「どっこも痒いことあらへん。ふふ、あのな、あんた、聞くところによれば口が固いそうやなぁ。」

貞「へえ、口は固うおます。先月もお使いにいったら、銀杏が落ちてましてん。それを拾うて炒って全部噛んで食べたった。ざまみろ。」

香「それは歯ぁが硬いねん。あのな、お貞ちゃん、この用事は誰にも言うたらあきまへんえ。あのな、この文を叶という絵のお師匠に届けて、ご返事をもろうてきておくれ。」

貞「へえ、行ってきます・・・わ、風が冷たいなあ。わ、犬や、ついて来よる、わう!わう!、あはは、逃げて行きやったぁ、ざまみろ・・・あ、ここや、えーごめんやす、叶先生はご在宅ですか。叶先生、センセー、おい、カノー!出てこ~い!」

叶「やかましいな!おい子供、何ぞ用事か。」

貞「用事があるから来てますねん。さて叶先生に申し上げます。この手紙を主から預かって参りました。お返事を承ってこいとの申しつけでございます。」

叶「ほお、そらご苦労はん。まあ返事は読んでからや。ふむ、我が姿を描いて欲しいとな。なんと、ごっつい画料じゃな・・・うむ、名はお香とな、よし確かに承ったと、言いたいところやがな。」

貞「なんぞ不服で。」

叶「画料に不足はないがな、わしは別嬪しか描かんことで通っとる。大金を積まれて醜女を描いたとなれば名折れや。さて、お香さんはどのようなご容貌じゃ。」

貞「ええと・・・目ぇが二つに、鼻がしゅうっとして、あ、唇の横に小さい黒子がありますねん・・・」

叶「はは、唇の横に黒子とは風情やないか。よしよし、遠慮なしに問うぞ、お香という女は別嬪か?」

貞「へえ、そらもう別嬪さんでっせ。近所の兄ちゃんやら犬やら鶏やら、もう雄(おん)やったら何でも寄って来よります。この前は雄ネジまで寄って来た。そやけど旦さんが怖い・・・何もおへん。あ、そや!芸妓で出てはりましてん。それを旦さんが金に物言わして落籍いてきて、無理くり囲いもんにしはったんどす。何でもご大家のご隠居やら役者やらと競り合うて金銀を並べ合うて、その量がヤフオクドーム3杯分!」

芸妓の頃のお香さん、九尾の狐の末裔だとか、天狗が天女に産ませた娘だとか言われるほどの妖しい色香でございました。

叶「ほう!よっしゃ、気張って描かしてもらうとお伝えせえ。」

貞「おおきに。ご返事承りましてございます。」

お貞、返事を待って家へ戻ります。

香「叶先生がそない言うてくれはったか。うれしいことや。あ、お貞、これは旦さんのお耳に入らんようにな。」

貞「へえ。ほな、わたいは下がらしてもらいます。」

香「ご苦労はん。はあ~、あの叶先生に描いてもらえるんやて。女を描かせたら京で一番や。描かれるんは別嬪の証。ふふ。何よりあのセンセ、男前やわぁ。センセの前で肌身をチョと晒して、ちらっと晒して、センセいややわ、あきまへん、もう・・・」

貞「姐さん、一人で着物の裾をチラチラめくって、クネクネしはってからに。足の裏が痒いんやろかな。」

さて、数日後のことでございます。叶絵師はお香の家にやってまいりました。

叶「お、お香さん・・・確かに別嬪やぁ。」

香「まあ、センセよう来てくれはりました、おおきに。はぁ、ほんまにええ男どすな。はぁ、どうぞよろしゅうに。どうぞ奥の部屋へ、どうぞ」

部屋は日当たり良い上、炭で火を起こしてあります。

師走というのに暖かくなっておりました。

さてさて、さすが当代一の絵師。書き始めると筆がぐいぐいと進んでまいります。

叶「お香さん、今度は座って、足を横にゆるりと延べて、そうそう・・・う、よろしいな」

香「ああセンセ、こうですか?、私、暑うなってきました。汗かいて恥ずかしいわぁ、ちょっと襟を緩めさしてもらいます。」

叶「お香さん、胸もはだけて、や、いっそ襦袢に。」

香「いややわぁ、センセ、そんなん恥ずかしおすえ。」

と言いながらも、お香さんは帯を解き、ゆるゆると着物を脱ぎまして、襦袢の裾からは脛が見え、膝が見え、腿まで露わになりました。

叶「おお、まるで天女や。なんと白い肌や、耳はぽおっと赤うて。ふくらはぎも柔らかそうで。」

香「ああセンセ、もうわたし・・・」

襦袢一枚のお香さん。叶先生、一生懸命に描いてましたが、もう辛抱たまらんようになりました。

貞「わ、姐さんとセンセ、わ、あれ何してんのん、わ、わ、きゃあ、わわわわ、えぇ~。」

隣の部屋からお貞、こっそり覗いておりました。

さて、それから半刻ほど時は流れ・・・

香「ふう暑いわぁ、ちょと窓ぉ開け・・・風が通ってええ気持ち。あ、絵が一枚、飛んで行ってしもうた。」

叶「かまへん、また描いたらええねや。後で何枚でも描いたる、その代わり、な、もう1回。」

香「嫌なセンセ、もう1回って・・・あ、二回でも。」

とまあ、お二人、時を忘れて部屋におりましたが、飛んだ絵でとんだことが出来しておりました。

安「おい、見てみ、あれ。空をひらひらと。」

八「ん?天女や!天女さんが空、飛んではる・・・わ、降りてきはったで、なんまんだぶ、ん?絵やないか。」

安「おい!これ、この絵、お香さんちゃうか?」

八「ほんまや!間違いあらへん、ほくろもあるで。」

安「えらいこっちゃ。すぐ親分に見せい!」

この安と八、安倍の清兵衞の子分でございます。

清兵衞は暗黒街の大物。お香さんの旦那でございます。

八「親分、親分!えらいこっておます。天女からお香さんの空が降りてきはりました!」

清「は?落ち着かんかい。見せてみぃ。お!ほんまや、お香や。ほくろも描いたある。唇の横ともう一つ。ん・・・この絵は確か、叶とかいう絵師の手ぇや。ほ、まだ墨跡が新しいわ。ははあ、お香の奴、叶を連れ込んどるのぉ。ふ、しゃあない女や。しかしなんぼ絵師でもこの清兵衞の女を裸にむくとは太いやっちゃ。わしが直々に締め上げたるわい!」

安倍の清兵衞、老体をぐいぐい進めまして、お香さんの家へあっという間に到着です。

清「ははは、いま最中かいな。大きな声やの。よっしゃ、一番ええとこで踏み込んだろ。ここから覗いてやな・・・ん?なんや、お貞かいな。」

貞「ひゃあ、旦さん!あちゃあ。ごきげんさん。」

清「退け、見せてみ。おお!あの絵描きめ、お香に何ちゅうことを。お香もお香や、ちゃあ・・・うわ、しかし我が女ながら、ええ女やのぉ、むんんん、あの胸乳、見てみ。おお、おお。」

暗黒街に睨みを利かすその目で、我が女が寝取られるのを見てます親分、意外にも我を忘れまして。

清「おお、お香の奴、何とまあ、あら・・・わぁ、もう辛抱たまらん、お香!お香!」

がらがらどっしゃん!隠し部屋の壁を突き崩して、清兵衞親分、2人が絡み合う中へ、どーん!

叶先生を突き飛ばし、お香さんに挑みかかります。

香「わ!旦さん、かんにん、かんにんえ。」

お香さんと清兵衞、もう無我夢中でございます。

叶「うーん、あ痛たた。なんや、誰や?わー安倍の清兵衞!なんじゃ、お香は清兵衞の女かいな!ひゃあ、くわばらくわばら、さいならぁ!」

貞「あはは、絵のお師匠が走って逃げた!あはは、これがほんまの師走やぁ・・・あれ、旦さん、叶先生が逃げまっせ、追いかけまへんのか?」

清「うーん、久々に・・・腰が。わしも今月で七十やさかいなぁ」

貞「あははは、これがほんまの年のせ(瀬)ぇや」

・・・お後がよろしいようで。

49+(ヨンキュープラス)紙上チャレンジ

答えは、問うしかない!

問うても分からなければ、やるしかない!

不倫がダメだとか!?最低だとか!?

それが正しい論だとおっしゃるなら、こういう不倫は、いかがでしょうか!?

粋で鯔背な不倫なんてあるもんか!!

あるか!?ないのか!?書いてみたぞ!

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