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新作楽語「昼はと」

コラム 伝えたいこと

席亭・中村修治 作・中村亭ショーイチ

新作楽語,鳩,鳥,自由,大空,倶利伽羅紋紋,昼寝,

本日も、ようこそのお運びで。

さて濃い青い空に色々な鳥が飛ぶ季節になってまいりました。

古代、人類は空を飛ぶものはぜんぶ鳥と呼んでたそうでございます。

しかし、人類も長いこと人類をやってるうちに

全部が鳥っちゅうのも不便なもんや。

ガーガー言うのんはガチョウや。

白いのんは白鳥や・・・というふうに鳥の名前を決めていったのでございます。

 

後年、この昔話を聞いた小さい子が

「なあ、おとうちゃん、ホーホケキョって鳴くのに、なんでウグイスなん?」

「そらお前、ウグイス餅の色やからや。」

 

喜「ようやく昼か。まだ今日の仕事は半分も終わってへんがな。めんどくさいなあ。親方にカンカン言われ、仲間にキィつこて・・・

鳥はええなあ。自由に空飛んで。はあ、あれ?なんやなんや?あれ・・・あ、あ、あ、身体中がこそばいで。あら、手、手ェが鳩の羽や、わわわわ、わし、鳩になったで。

ワシがハト?イーグルがピジョン?ええ?ようわからん。わ、ここ歩道やがな、わ、踏まれるわー、わ、危な!ひやー、わわわわ、浮いたがな浮いたがな。ジタバタしてたら浮いたがな、あ、そうかわし鳩や。飛んだらええねんや、でもわし、高いとこ怖いしなぁ。

わわわわわ、上がる上がる、わーっ、屋根より高いで、鯉のぼりかワシは。英語で言うたらI am more expensive than roofや。わーっ、気持ちがええもんやな、ひゃー、鳥はええなあ言うてたら、神さんが鳥にしてくれはった。おおきに。しかしなんで鳩やねん。どうせやったら鷹にしてくれはった方がカッコええのに。なんで鳩やねん。ま、ゴールデンイーグルよりええか。

はあぁ、鳥はええなあ。大空を自由に・・・っちゅうけどやなあ、しんどなってきたで。飛ぶのも初めてやし、慣れてへん。ずーっと羽ばたいとるがな。バタバタと。羽ばたくんやめたら真っ逆さまや。わー、あかん、しんどい、ここは辛抱や、人間辛抱や・・・ちゃう、わし今、鳩や。鳩、辛抱や・・・含蓄ないなあ。危ない、お、煙突がある。そこに留まろ。よーし、ばたばたばたっと、よ、お、おっと危な。」

 

さてさて、いきなり鳩になった男。
なんやかんやで馴染んでるようでございますな。

 

喜「おお、風呂屋の煙突やないか。ほお、そしたら、この下は女湯やなあ。へへへ、ちょっと煙突の中へびゅーんと・・・あかん、この下はボイラや。風呂屋の釜や、そんなとこへ突っ込んでったら、焼き鳥一丁上がりやないか。人間は焼かれておコツ。鳩は焼かれておツマミかいな。よう考えたら、わし、空飛ぶ手羽先やんけ、焼かれておコツやのうて、食われておコツか。くわばらくわばら・・・

どうせやったらべっぴんに骨までしゃぶられたいもんや。そやなあ、三丁目の小唄の師匠みたいなんに、なあ、あんさん、骨の髄までしゃぶりたいわぁ、いけず・・・なんて言われてってか、あ、そうや!わし、今、鳩やん。女湯の湯気抜き窓に飛んで行ったらええねん。ほいで、窓枠に留まって・・へっへ、鳩は便利やなあ、よっ、ばさばさばさっと。おお、よう見えるで。うっひゃー!神さんおおきに。

おお、噂をすればなんとやら、三丁目のお師匠はんやないか、わ、えー?背中に倶利伽羅紋紋入っとるやないか。わー、かわいい顔して、わぁ、案外、お腹でとるなあ。あれ、帯でぎゅううっと締め込んで抑え込んで、しゅうっと見せて、おっさんどもを骨の髄までしゃぶりよんや。わー、くわばらくわばら。

ほんま女は見かけによらんなあ。魔物やわ。あ、なんやなんや、三助やがな。なんか言うとる、こっち見て怒っとる。ぐるぐるぽっぽとうるさいってか。わ、水かけよる、わわわ、ばさばさばさ・・・

危ない危ない。


しかしまあ、ええ天気やなあ。ちょっとあっちへ飛んで行ってみよか。あれ、お、和菓子屋のみっちゃんや。べっぴんやなあ。かわいいおしり振って歩いとる。どこ行くんやろなあ。おおっと、角曲がったとこにあれは四丁目のワル隠居や。よう見たら親方とおんなじ顔しとる。取り巻きがぎょうさんおるなあ。源ちゃんみたいなんもおるわ。あの親方、ちゃう、ワル隠居、みっちゃんを狙うとるねん。みっちゃん、賢いさかい、あんな因業ジジイ相手にせえへん。そやし、力づくやな。あかん、みっちゃん、行ったらあかん!あ、見つかった。ああ、捕まったがな、絡まれとるがな。助けなっちゅうてもわし、鳩や。ああ、神さん、わしをワシか鷹にしてくれとったら・・・しかし、ええい!ここは男気・・・ちゅうかわしは今、鳩や。オスバト気や!オスバトってなんか強そうや!トルコかどっかの格闘家みたいやで!

みっちゃん、助けたる!ばさばさばさ。

こら!ワル隠居、やめんかい!みっちゃんから手ェ離せ!ばさばさばさ!」

 

隠居「何や、この鳩、何やねん!やめい!どっかいけ!どけっちゅうねん!どけ!!しばくど!」

 

喜「みっちゃんから手ェ離せ!わからんガキどもやなあ・・こんだけ言うてもわからんか!やめろ!!」

ドンドン!

 

キーンコーンカーンコーン・・・


親方「さ、昼も終わりや、おい、みんな仕事すんで・・・お?源さん。見てみ。聞いてみ。」

 

源「何でっか?親方。」

 

親方「喜ぃ公を見てみ。昼寝しながら、なんや、必死の顔してな、ぐるぐるぽっぽー、ぐるぐるぽっぽー言いながらジタバタしとるで。あ、また言うとる」

喜「ぐるぐるぽっぽー!ぐるぐるぽっぽー!ぽっぽー!」


源「ほんまや、ははは、手ぇ振り回しとる・・・ははは、鳩になった夢でも見とんですかね。」


喜「ぐるぐるぽっぽー!やめい!やめろー!ああ夢やったんか、あ、ワル隠居。」


親方「なんじゃ?おい喜ぃ公。仕事するで。ああ、ところで何の夢見てた?」


喜「鳩になって、四丁目のワル隠居に、この鳩、どけどけとしばかれて・・・ああ、ちょうど仕事の時間。よう起きれたな・・あ、なるほど、これが鳩どけい。」