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豪雨被害を乗り越え酒造り 福岡県朝倉市の篠崎の今を追う

コラム お酒のお話

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「国菊 あまざけ」で全国の甘酒市場のトップシェアを誇る、福岡県朝倉市の篠崎では今、社員らが製品づくりができる喜びを噛み締めている。

篠崎に悪夢が襲ったのは、7月だった。九州北部豪雨は瞬く間に、工場横を流れる桂川をはん濫させた。濁流が工場内に侵入。大人の男性の腰まで浸かるほどの泥水が、甘酒や酒を製造する機械を使い物にならなくした。

豪雨で酒造りがストップ、損害は6億円

操業は完全にストップ。工場内の水が引いた後は、泥のかき出しに追われた。福岡県内の酒蔵仲間にも復旧の応援をしてもらい、甘酒の生産をスタートできたのは、悲劇から2ヶ月後の9月だった。機械の損害、甘酒などを出荷できなかった損害を単純に合算すると、6億円。

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それでも、篠崎は前を向いた。社員、パートを含めて約70人の雇用を守った。まずは、地域の復興が大事と自社の復旧を後回しにして、高齢世帯の多い近隣住民支援のために、スタッフを派遣し続けた。

豪雨をきっかけに深まった地域との絆

「水害なんかでくじけない」

11月には、例年より2ヶ月遅れで日本酒の製造もスタートした。蔵の中は、酒造りができる幸福感に満ちている。社員と地域住民との関係も、災害前よりいっそう親密になった。蔵は地域に支えられ、存続してきた。だから、地域が困っている時は逆に、助ける。今や甘酒で全国に名をとどろかせる篠崎だが、昔は当たり前だった、地域と蔵との関係をあらためて考えさせてくれた。

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「豪雨の後、テレビ局などのインタビューでよく『(経営は)大丈夫なんですか?』と聞かれたんですけど、『大丈夫です』と答えていました。根拠はあります。われわれには幸いなことに、国菊のあまざけがあります。甘酒を造りさえすれば、大丈夫。もちろん、今後の資金的な裏付けもありました。そして、何より、僕はめちゃくちゃ失敗をしてきている男。僕は酒造業界で一番失敗をしている男だと思っています。だから、水害なんかでくじけません」

篠崎の跡取りで、経営企画部長の篠崎倫明さんは力を込めた。

創業約220年の老舗酒蔵に訪れた試練。それを乗り越え、懸命に前に進む「不屈の篠崎」を、博多日本酒吟醸香は追う。

 

株式会社 篠崎

福岡県朝倉市比良松185

TEL0946-52-0005

12月号に掲載されています。ダウンロードはこちら。

博多日本酒吟醸香 不屈の篠崎~1~