「ヨンキュープラス」49歳以上のおじさんおばさんに正直なメディアをつくってみました。ご賞味ください。

元祖ぴかいち

美味しいお話 お店紹介

唯一無二の辛子高菜で客を隷属するチャンポン屋

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 もう32年の行きつけで、大将の張さんとは名前で呼び合う間柄で、だからけっこう言いにくいことなんだけど、ぼくが「元祖ぴかいち」に通い続ける理由は、あのスペシャルな「辛子高菜」を偏愛しているからなのである。

 いや、もちろん料理はすごい。チャンポン(750円)と皿うどん(750円)の2枚看板だけじゃなく、ラーメンや担々麺だって、あるいは夕方から注文できる一品料理も、ほんとよく設計されている。いわゆる「何を食べても美味しいお店」なのだ。

 その中でぼくが”辛子高菜のために選ぶ”のはチャンポンセット(830円)である。まずは運ばれてきたかしわ飯の中心を箸でほじって、そこに辛子高菜の山を築く。

 浅すぎず、深すぎず、ちょうど良い漬かり具合の古漬けは、茎の部分はコリコリと噛み応えよく、葉の部分はねっとりと色気がある。高菜特有の香り、酸味と甘味の絶妙なバランス、ほどよい塩気、乳酸発酵の凝縮した旨味、そしてもちろん辛味だ。ああ、だめ、だめ。我慢できない、止まらない。恍惚としてくる。

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チャンポンが来たら、大きめのレンゲに辛子高菜をたっぷりのせて、そこにスープを注ぎ入れ、いわばつけダレの要領で麺や野菜を浸して食べる。ラストはあらためて丼に投入した高菜で染まる、そのどこまでも赤い海を汗だくになりながら飲み干すのである。

 帰りには1000円のお持ち帰りを、だいたい5つは買っていくから、中華屋のひとり客とは思えないほどの支払いになる。張さん、料理の二の次にしてごめんなさい。でもね、ぼくは14歳のあの時からずっと辛子高菜の奴隷なのです。

<ライタープロフィール>

株式会社チカラ代表取締役

ライター 元木晢三

鶏肉屋の三男として生まれたせいで幼い頃から飲食店が近しい存在で、飲めるようになってからは一日も酒を欠かしたことはなく、立飲みから高級店まで、まあ図々しく呑み喰い語る日々。今日も反省なく喰らう、喰らう。