700種類という膨大な缶詰コレクションから選ぶ楽しさ!!
最近、わかったことがある。
私は、路地が好きなようだ。
中洲の人形小路とかは、歩いていてワクワクする。かっぽう着を着た女将さんが、「あら、シンさんお久しぶりね❤」なんて出迎えてくれそうな店構えが多いからだ。
人形小路が東の横綱なら、西の横綱は渡辺通りか。
人形小路とちがい、こちらの魅力は“怪しさ”である。“ドアの向こうではどんなサービスが待ち受けているのやら”的な期待感が湧いてくる。
その渡辺通りも、最近は開けてきたようで残念至極だ。
今回は、今から8年ほど前「面白い店があるぞ」って、グルメ雑誌の編集部員に連れていかれた店である。その店がいまだ健在と聞きつけ、久しぶりにドアを開けた。
開けるなり、当時と変わらず!?いや、スケールアップしてモリモリと並んでいる缶詰の棚が、目に飛び込む。そう、ここは缶詰居酒屋だ。
全部で700種類がひしめいている。(全国一の品揃えかも)
今では福岡唯一ではなかろうか。(違ってたらごめんなさい)
薄暗い怪しげなムード満点の店内は、カウンターとテーブル合わせて20席弱。通りの怪しさそのまんま。期待を裏切らない設えである。
令和になろうとも、昭和レトロな魅力は衰え知らず。
ケンさんの入れ墨姿に見とれつつ、選んだ缶詰は、カキとウィンナー、鯖カレー煮の3つ。食べたい缶詰を選んでマスターに渡すと、それを調理してくれるというシステムだ。
「天の橋立カキ」の缶詰は、パッケージにこだわりを感じて選んだのだが、これが正解。この缶詰は、京都の職人集団が腕によりをかけて作った高級品だそうだ。
調理してでてきた一品をご覧あれ!
旨そうでしょ!
カキにレモンをジュって絞って、粒マスタードと合わせてパクリ。プリプリ感は残り、カキの風味は濃厚。BGMに流れる井上陽水の「東へ西へ」にドンピシャだ。これで1500円。
明治屋の「ウィンナーソーセージ」(調理済み:600円)は、新玉ねぎと一緒に。BGMは織田哲郎の「ボンバーガール」。これもなかなかのマッチングだ。
締めは「鯖カレー煮」。これは予想だにしない旨さである。目の前に座る、少し大げさな連れは大きめの声で「旨~い」と。確かに、缶詰と言われなければわからない本格派である。
中森明菜バージョンの「22歳の別れ」に感動しつつ、怪しげな夜はふけたのだった。