「花田伸二の居酒屋マンボッ」に、新たな助っ人が登場した!
最初の一人は、自ら調理師免許を持ち、酒屋も経営しているという、旨いものに貪欲なIT社長のハッシー。そしてもう一人は、元共同通信社の記者で、現在「博多日本酒吟醸香」「九州焼酎島」というサイトの編集長・渡邊氏。
さてさて、どんな店が飛び出すか!?乞う、ご期待。
安くて旨いのが居酒屋の神髄。観光客にも地元民にも愛される名店。
私は以前、西中洲で創作系低温調理の店を経営したことがある。当時、唐津の呼子に「セゾンドール」という店があったのだが、そこの料理の虜になった私は、オーナーシェフの前山さんにお願いして、お弟子さんをご紹介いただき出店したのだ。
低温調理の神髄は、素材ごとに合った低温の熱の入れ方にある。素材のうま味を最大限に引き出す調理法なのだ。その低温調理を格安でいただける店があるとの噂を聞きつけ、博多駅の地下にある「博多1番街」へと向かった。
観光客が行きかうその一角に、なにやら楽し気な店構えの一軒。ここが、その「飯と酒 いちばん」である。わかりやすい店名だ。
由来は聞いていないが、 “一番街”にあること“一番おいしい”とか“一番になりたい”とかの意味が込められているのではなかろうか。(違ったらごめんなさい)
入店しやすいように巻き上げられた暖簾をくぐり、テーブル席へ。
レトロモダンなデザインの店内では、モンペ柄の甚平を纏った若い店員さんが手際よく切り盛りしているのが、清々しい。
メニュー筆頭は「肉刺し」低温調理
さて、メニュー表を開く。
大きく赤文字で表記されている「肉刺し三種盛り合わせ」(980円)が、目に飛び込む。この店のイチオシなのは一目瞭然である。
調理法の説明には、63度で30分間じっくりと熱を通すと書いてある。これにより水分や旨味を逃がさず、柔らかく仕上がるそうだ。そうそう、食材によって何度が適温かを調査するのが、この低温調理法のキモである。
そのイチオシの肉盛りと「つぼみ菜の天ぷら」、それに「スナップエンドウ」をオーダーする。「お待たせしました」と、そんなに待ってもないうちに「肉刺し盛合せ」が。
見た目もビューティフォーな低温調理
タン・レバー・内モモの3つの部位に、薬味は塩昆布にゴマ・きざみネギにワサビとレモン。部位ごとにお好みでって配慮だと思う。まずはごま油がかかったレバーをネギと一緒に頬張る。レバー特有のあの風味がより濃厚な気がする。レバー好きならコレ一切れで3口はビールがいけそうだ。
次にタン。レモンを絞り、ネギを巻き、塩昆布とともに味わう。うむ。焼きではないのであのプリッとした食感は少ないが、いつもと違ったジューシーなタンの味が楽しめる。
内モモはもろ味とネギを合わせてみる。なんだか、ハイボールが飲みたくなる味わいだ。
そうこうしてる間に、つぼみ菜の天ぷらとスナップエンドウがやって来た。
ふくれんに勤めている同級生から、このつぼみ菜は福津市内の畑で30人近い料理人や農業関係者と一緒に「売れる、おいしい名物野菜をつくろう!」という志の元、開発した品種だと聞いたことがある。確かに、旨い。福津生まれとしては、もちろん、つぼみ菜ファンである。
新鮮さすら覚えるレトロなデザインの店内でハイコスパなメニューを味わい、平均単価2100円。観光客でなくても入り浸りたくなる名店の一つだ。