美食家垂涎の茶わん蒸しは、本場・長崎県民渾身の一品。
「大将の豚の角煮」もね。
福岡の夕方のワイドショー「めんたいワイド」でMCを務めるあっちゃん(今村敦子さん)は、20年来の友人である。男女間の友情はあり得ない派だった私の意識を根底から覆してくれた、異性の親友なのである。
そのあっちゃんとは、お互いの近況報告がてら定期的にご飯を食べに行く。その際の店のセレクトはすべて、あっちゃん任せ。彼女のセレクトで外れた試しがない。
今回は、そのランチ会でコース的な料理を食べた「茶わん蒸し 下釜」を再訪した。
白金・平尾・高宮。このあたりはまぁ、裕福な方々がお住まいの一軒家が立ち並ぶ住宅街である。そんな閑静な地に佇む古民家風リノベ。店内は古木の風合いがいい温かみを醸し、程よい上品さを奏でている。
見渡してみると、4人掛けと2人掛けのテーブル席が1つずつ。ほかに、小上がりになった掘りごたつ式の席や個室もある。カウンター席もあるが、おそらくこちらの客層はゆっくり食事を楽しみたい方々。あんまり使われていないんじゃないかな?
本格的な料理屋は「突き出し」からしてちがうのだ!
突き出しのきんぴらごぼうには、丁寧に作られた料理がもつ温かさが感じられる。ざざっと作ったものとは、見た目からして違うのだ。味付けも優しく、とげとげしいからみもない。糸コンやエノキ、ニンジンも程よく混ざり合う。
茶わん蒸しと侮るなかれ!大将が惚れこんだ発祥店の味。
こちらのメインを張るのは「茶わん蒸し」(650円)。
なぜに茶わん蒸し!?とお思いでしょうが、大将の下釜大助さんの出身は長崎県。大将は、地元・長崎の名店「吉宗」さんの大ファンなのだとか。
「吉宗」さんは創業150年超という老舗で、茶わん蒸しの発祥店として全国的にも有名。確かに私も、初めて足を運んだ時はいたく感動した。
そんな偉大な店の看板メニューを自身でも掲げるため、中華料理店で10年、居酒屋・カフェ・水炊き料亭などで研鑽を積み上げてきたという。
では、「いただきます」。
素朴な外見は、いかにも「吉宗」さんっぽい。しかし、ここにはアナゴ・キクラゲ・鶏肉・エビ・ギンナン・シイタケなど、10種類もの具材が隠れている。
それぞれのエキスが染み出した、出汁の効いた味。プルンとした柔らかさや色んな食感、朝倉のブランド卵のうま味、そのすべてが口の中に充満する。
加山雄三さんならつぶやいてるはずだ。
「幸せだなぁ」って。
次に大将に勧められたのが、「大将の豚の角煮」(850円)。
ドキッ!
大将が飼ってる豚を角煮にしたのか!?んなわけないわね。豚は飼わんわね。
“大将渾身の”とか“大将特製の”って意味でしょうね。
赤身部分の肉は若干の歯ごたえを残し、脂身のトロトロ感や柔らかさ、味付けの塩梅といいブラボーだ。
豚の角煮史上では一番の旨さだ。
最後は、アッツアツの「いかしゅうまい4個」(680円)を頬張り、ノンアルBで締めくくる。
いつもは会席の右手にそっと並べられる「茶わん蒸し」だが、ここ「下釜」さんではど真ん中に鎮座する。
ど真ん中ポジションを確立した茶碗蒸しと、角煮史上1位の豚の角煮。
一度は味わうべき逸品でありますぞ!
あつこセレクト、恐るべし!