日本酒に“ゾッコン”の利き酒師がいる店。厳選された酒と料理が大人な角打ち。
博多駅に隣接する商業ビル「KITTE博多」は九州、いやアジアからの観光客でにぎわう人気の商業施設だ。そんなビルにどうやったら入居できるのだろうか。
“名店”“人気店”というポジションを確立し、さらには資金力も必要なんだろな、なんて考えながら地下へ降りていく。めざすは「ぬる燗 ぞっこん離れ」。
到着。
うん、通路と店舗の境目を壁で仕切らない、開放的な空間だ。これは、最近の商業施設に入っている飲食エリアの特徴ですな。
見るからに日本酒の品揃えがよさそうな設え。きょろきょろしていると、「花田さん!」と大きめの声での呼びかけられた。
「・・・」
「私ですよ、緒方です」
「あ~、お久しぶりですね~」と、あいさつを交わした相手は、私の知る限りでは、佐賀県の大型旅館の支配人という立場でコンサルをされていたはずなのだが…。
名刺を交換すると、この店をはじめ全部で6店舗の飲食店のオーナーではないか。いやぁ、当時からタダモノではないとは思ってましたよ。しかしまぁ、これが、いわゆる仕事ができる人なんだなぁ、と感心しながら着席する。
すると、「花田さん、伊万里牛の石焼きウニ添えと、珍味五種盛りを食べてってください」。
オーナーさんが、自信満々にお勧めされるメニュー。望むところですよ。
オーダー率、なんと驚異の70%!看板メニューはさすがの完成度。
「伊万里牛のサーロインうに添え」(1,980円)。
予想以上の風貌である。
丸いつるつるした高貴な石を従え、さらには半板のウニを侍らせ、露払いの大葉とともに堂々の入場である。
メニュー表には、「オーダー率70%」の文字が躍る。この風貌をみるからに、過大表示ではなさそうだ。頼みたくなるのも頷ける。
アツアツに焼きあがったツルンとした石に、伊万里牛をのせる。ジュ―ッ、ジューッ。おそらくは、このまるっとした石が遠赤外線とやらを放出し、肉をまろやかにするのだろうなと予想する。
ミディアムレアの肉にウニをのせ、大葉とともにわさび醤油で味わう。
ハイ、決まりです。
肉汁が口に広がります。
ちょうどいい感じの肉の繊維も感じます。
ウニとの相性もよかですよ。
大葉が意外にいい働きをみせてます。
つぎはジャポネソースで、その次は岩塩。わさび醤油も、やっぱり旨い。あっという間にペロリですよ。風貌も中身も、よか料理だったですバイ。
選べる珍味は、揃いに揃って25種類!?
次にやって来たのは、「珍味五種盛」(1,680円)。これは、25種類ほどの珍味リストから5つをチョイスするというメニュー。
いやぁ、迷いますなぁ。どれもこれも、つまみにピッタリなものばかり。迷いながらも、ルイベ(鮭の冷凍漬け)・へしこ(サバのぬか漬け)・本からすみ・カニ味噌・干しホタルイカを選んだ。
先述の緒方さん曰く「日本酒に合う料理を揃えました」とのこと。
揃えすぎやろ!
飲みすぎるバイ!
JR待ちなら乗り遅れるバイ!
心の中で突っ込みながら、ドライゼロをグビグビ。次回の再訪を固く心に誓って、店を後にした。
あっ、忘れるとこだった。
利き酒師の店長が揃えた日本酒の品揃えは、60種類。銘酒ばかりですぞ!